「無事居座る結果になったのはおめでとう。で、どうするつもりだ?」
将軍を抱き込むのは失敗したんだろう、と面白そうに話しながら見下してくるC.C
C.Cに思わず視線をやると、思わず眉間に皺を寄せる。
そのまま俯いて黙り込んでしまったルルーシュに、C.Cは大袈裟に肩を竦めた。
「お前の目的は結局なんなんだ。」
静かに問いかけられた言葉に、膝の上で握り締めた言葉がぴくりと反応を示す。
横目にそれを認めると、はぁ、と今度は大きくルルーシュにも聞こえるように溜息をついた。
「目的を見失っているのか?あんなに野心家だったお前が」
嘲笑うように言いながら、着物の裾を引いてルルーシュの隣に座ると続けた。
「何がしたい。お前は何に捕らわれているんだ?」
C.Cの凛とした声がルルーシュの心に響く。
ゆっくりと伏せていた瞳をC.Cに向けると彼女の痛いほどの視線が向けられていることに気付いた。
「俺…は…家に帰れないならここの実権を握ってやろうと…」
「実権は握ったな。お前しかいないんだ」
呟くように言った言葉にさらっと結論が出されてしまい思わず押し黙る。
その反応を見ては楽しそうに笑い出すC.Cに脱力する。
「遊ぶな」
「いいだろう。遊ばせろ」
小皿に添えられた金平糖を口に含むとC.Cは意地悪な笑みを浮かべながらルルーシュを見つめた。
「で、お前が満たされない理由は分かったのか?」
「スザクに…会いたい…」
零れ落ちるように呟いた言葉は自然にすとんと心の中に落ち着いて。
いつものように笑うかと思われたC.Cは、ただ面白そうに薄ら笑いを浮かべながら茶をすすっていた。
「それを巷の女は恋と呼ぶのを知っていたか?」
「まさか、俺が恋なんて…」
「笑わせるな。そんな顔をして…それが恋をしていない女のわけがないだろう」
「違う」
「会いたいんだろう?」
「…違う」
「名前を呼んで欲しいんだろう?」
「違う!!!」
「お前は優しく抱き締めて欲しいんだ」
「…違う…違う…」
「スザクでないと、ダメなんだろう?」
「…っ…」
「いい加減素直になれ。取り返しがつかなくなるぞ」
俯いたままぴくりとも動かないルルーシュは思いつめていて。
全く損な性分の女だな、と内心呟くとC.Cはそのまま部屋から出て行き、部屋にはルルーシュ一人が残された。
誰もいなくなった部屋で脇息に両腕を預けてぼうっと庭を眺める。
自分のするべきことを見失った気分だ。
庭では春を告げる鶯が鳴いていて。
そういえばここに来たのは秋だったから、もう4ヶ月が経つのだな、と呟いた。
色々なことが起こったな、と考える。
最初は嫌で嫌で仕方が無かったのに、それが和らいできたのはいつからだろう、と瞳を閉じた。
「…恋…か。俺はこれから、どうしたいんだろう」
すっかり先が見えなくなっていて。
何もする気が起きなくて。
ただ、心の中にはすっかりスザクが住み着いていて、ルルーシュは眉を寄せた。
最悪だ、と頭をぶんぶんと振って頭の中からスザクを追い払う。
「先が見えたら苦労はしないな」
溜息をつくと、考えても仕方ない、と再びぐったりと脇息に体重を預けた。
「将軍。ブリタニアから文が来ておりますが」
スザクへの手紙には他の姫君に里帰りを命じられたのにルルーシュは何故帰ってこないのかということが書かれていて。
内容を聞くとますます、ルルーシュが勝手に帰らないんじゃないか、とげんなりする。
手紙をくしゃり、と丸めると、スザクは大臣に視線を投げかけた。
「ブリタニアへ返事を。即刻ルルーシュ姫はお返しする、と伝えて」
to be continu...